1億年の大地の記録

地層を形成する堆積岩(たいせきがん)や、マグマが冷え固まってできた火成岩(かせいがん)など、天草では太古から築かれてきた地質・地形を見ることができます。

天草地域の地層を見るポイント

天草の各地域では、恐竜の繁栄と絶滅が見られた白亜紀から、人類が現在とほぼ同じ状態まで進化する第四紀まで、幅広い地質時代の地層を観察することができます。地層によって「御所浦層群(ごしょうらそうぐん)」「姫浦層群(ひめのうらそうぐん)」「坂瀬川層群(さかせがわそうぐん)」など名前が付いていて、各地域でそれぞれの地層が露出しているところが見られます。地層の名前を意識することが、天草の地質・地形を理解するポイントです。
あまくさといしのろとうの写真

(1)天草砥石の露頭(あまくさといしのろとう)

木目状の縞模様が美しい「天草砥石」。白い(※)流紋岩(りゅうもんがん)が地下水の影響で、岩石内部に酸化鉄の茶色の縞目が自然にできたものと考えられています。建築石材や生活用品として昔から使われてきました。砥石の露頭付近では地下深くから温泉が得られています。 ※流紋岩:マグマが地表付近で冷え固まった岩石のひとつ。白色の岩石。
【所在地】上天草市大矢野町
【天草誕生のストーリー】第3章
ゆしまそうのかせきとげんぶがんの写真

(2)湯島層の化石と玄武岩(ゆしまそうのかせきとげんぶがん)

湯島では、約100万年前の浅い海で堆積した湯島層と、島の中央部の高台をつくる約82万年前に噴出した玄武岩が見られます。湯島層からは内湾に生息する生き物の化石が産出します。玄武岩の風化した土壌からなる高台では「湯島だいこん」が生産されています。
【所在地】上天草市大矢野町
【天草誕生のストーリー】第3章
たかもくじまの写真

(3)高杢島(たかもくじま)

大矢野島周辺には、約300万年前に噴火したとされる小火山が見られます。その中の高杢島では、(※)角閃石(かくせんせき)を多く含む(※)安山岩(あんざんがん)から成り、島の形の美しさから天草富士とも呼ばれています。 ※角閃石:火山の岩石に含まれる鉱物。細長い柱状からつぶれた六角形の形をしている。
※安山岩:地表に出てきたマグマが冷え固まった岩石のひとつ。灰色の岩石。
【所在地】上天草市松島町
【天草誕生のストーリー】第3章
しもうらいしのろとうの写真

(7)下浦石の露頭(しもうらいしのろとう)

下浦地域に分布する砥石層(といしそう)の砂岩は、古くから「下浦石」の石材名で採石されていました。天草市の石橋はもちろんのこと、長崎市のオランダ坂の石畳など、県外でも利用されています。現在は採石されておらず、露頭として観察できる数少ない場所の一つです。
【所在地】天草市下浦町
【天草誕生のストーリー】第2章
ししぼえみさきとかいいきこうえんの写真

(8)獅子吼岬と海域公園(ししぼえみさきとかいいきこうえん)

牛深港から発着するグラスボートによる遊覧で、日本奇岩百景の獅子吼岬を見ることができます。この岬は約300万年前の鹿児島県長島の火山活動で噴出して火山砕屑物(かざんさいせつぶつ)からできており、風化浸食により現在の形となりました。海中にはサンゴや熱帯魚を見ることができます。
【所在地】天草市牛深町
【天草誕生のストーリー】第3章
といしそうのちょうせきたいせきぶつの写真

(10)砥石層の潮汐堆積物(といしそうのちょうせきたいせきぶつ)

約4,500万年前の砥石層に見られる潮汐堆積物は、当時の潮汐のリズムが記録されたものです。1日2回の潮の干満と、大潮から小潮を経てまた大潮へ繰り返す潮(海水)の動きにより、この模様が作られました。
【所在地】天草市牛深町
【天草誕生のストーリー】第2章
ごんげんやまげんぶがんの写真

(11)権現山玄武岩(ごんげんやまげんぶがん)

権現山の山頂には、約700万年前に噴出した玄武岩が見られます。山頂部の赤紫色の土壌は、この岩石が風化してできたものです。この玄武岩は溶岩として陸上で流れた痕跡があり、この時代に天草下島の一部は陸であったことを示しています。
【所在地】天草市久玉町・魚貫町
【天草誕生のストーリー】第3章
さいせきじょうあとちのだんそうとかせきそうの写真

(15)採石場跡地の断層と化石層(さいせきじょうあとちのだんそうとかせきそう)

約1億年前の浅い海でできた地層が、採石によって崖となった場所です。地層からは当時生息していたかいるいなどの海の生き物の化石が見つかります。この崖を海上から見ると、断層により地層がずれていることが分かります。
【所在地】天草市御所浦町
【天草誕生のストーリー】第1章
よこうらじまのふせいごうろとうの写真

(17)横浦島の不整合露頭(よこうらじまのふせいごうろとう)

白亜紀後期(=恐竜時代)に深い海で堆積した姫浦層群(ひめのうらそうぐん)が、その後の地殻変動によって隆起し、地表に現れました。この時に侵食され、不整合面ができ、新生代(=ほ乳類時代)の赤崎層(あかさきそう)が堆積しました。恐竜時代の地層とほ乳類時代の地層が(※)不整合関係で接している様子が観察できます。 ※不整合:上下に重なる2つの地層に大きな時間の隔たりがあり、互いに調和していない関係にある地層のこと。
【所在地】天草市御所浦町
【天草誕生のストーリー】第2章
ごしょうらまえじまのちそうとかせきの写真

(18)御所浦前島の地層と化石(ごしょうらまえじまのちそうとかせき)

前島は様々な地質現象が見られます。東海岸には天草地域で最も古い(※)花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)が、姫浦層群(ひめのうらそうぐん)に覆われています。また、西海岸ではアンモナイトなどの化石がよく見つかり、化石を保護した露頭「(※)イノセラムスの壁」があります。 ※花崗閃緑岩:マグマが地中深いところでゆっくりと冷え固まってできた岩石。
※イノセラムス:白亜紀に生息していた二枚貝の一種。
【所在地】天草市御所浦町
【天草誕生のストーリー】第1章
あまつけのかいりょくせきさがんの写真

(19)天附の海緑石砂岩(あまつけのかいりょくせきさがん)

(※)海緑石を多く含む砂岩で、貝類化石が産出することでも知られています。炭鉱産業が盛んな頃は、炭層の(※)鍵層として利用されていました。 ※海緑石:きれいな緑色を示すことが特徴の鉱物。
※鍵層:地層の年代を特定するために用いられる特徴的な層のこと。
【所在地】天草市新和町
【天草誕生のストーリー】第2章
にしびらつばきこうえんのたかはまながさきへんせいがんるいの写真

(20)西平椿公園の高浜(長崎)変成岩類(にしびらつばきこうえんのたかはま(ながさき)へんせいがんるい)

天草町大江から高浜にかけて分布する高浜(長崎)変成岩類は、白亜紀の岩体で、長崎県の野母崎半島と関連する地層です。公園からは同じ変成岩類の(※)大ヶ瀬(おおがせ)を望むことができます。春先には約2万本のヤブツバキの花が山の斜面を覆います。 ※大ヶ瀬:天草市指定天然記念物の岩礁。詳細はこちら(天草市のウェブサイトに移動します)
【所在地】天草市天草町
【天草誕生のストーリー】第1章
まぐろいしのはまの写真

(22)まぐろ石(真黒石)の浜(まぐろいしのはま)

リップルランドの海岸では、地下から上昇してきた高温の(※)貫入岩(かんにゅうがん)の熱により、より緻密で硬くなった泥岩(でいがん)が、黒く丸く磨かれてツルツルの石として多く見られます。地元では真っ黒から転じて「まぐろ石」と呼ばれています。 ※貫入岩:もともとあった岩石や地層に、地下からマグマが貫入して冷え固まったもの。
【所在地】天草市有明町
【天草誕生のストーリー】第3章
とうぜんじのはいいしろとうの写真

(23)東禅寺の灰石露頭(とうぜんじのはいいしろとう)

五和地域に分布する灰石は、地元の石材名で「御領石(ごりょういし)」と呼ばれています。この地層は、約9万年前に阿蘇火山が4回目の大きな噴火をしたときにこの地まで到達したもので、阿蘇-4火砕流堆積物と言います。露頭には石仏などが彫られています。
【所在地】天草市五和町
【天草誕生のストーリー】第3章
くらたけさんちょうのかんにゅうがんの写真

(24)倉岳山頂の貫入岩(くらたけさんちょうのかんにゅうがん)

倉岳は標高682メートルで天草地域では最も高い山です。この山では、山頂部や中腹部の小ヶ倉観音(こがくらかんのん)などに、約1,600万年前の(※)安山岩質(あんざんがんしつ)の(※)貫入岩が教良木層(きょうらぎそう)を貫いて露出しています。この貫入岩は硬く風化侵食に強いため、倉岳が周囲より標高が高くなっているのです。 ※安山岩:地表に出てきたマグマが冷え固まった岩石のひとつ。灰色の岩石。
※貫入岩:もともとあった岩石や地層に、地下からマグマが貫入して冷え固まったもの。
【所在地】天草市倉岳町
【天草誕生のストーリー】第3章
おっぱいいわ

(25)おっぱい岩(おっぱいいわ)

女性の乳房の形に似ていることから「おっぱい岩」と呼ばれている、海岸に転がる大きな岩。西川内(にしかわち)の海岸に露出する坂瀬川層(さかせがわそう)の中にあった硬い塊が、風化侵食により取り残されたものです。
【所在地】天草郡苓北町
【天草誕生のストーリー】第2章

※おっぱい岩を見ることができる時間帯は、苓北町役場のウェブサイトでご確認ください。
苓北町観光情報(リンク先のメニューから「おっぱい岩潮見表」をクリックしてください)
しらいわざきの写真

(26)白岩崎(しらいわざき)

富岡海水浴場から延びる遊歩道を歩いて5分ほどのところにある、真っ白な(※)流紋岩(りゅうもんがん)が露出する場所です。富岡半島西海岸には、教良木層(きょうらぎそう)を貫く複数の(※)貫入岩類(かんにゅうがんるい)がありますが、その中でもこの貫入岩は最も白いため、よく目立ちます。以前は陶石としても採石されていたようです。 ※流紋岩:マグマが地表付近で冷え固まった岩石のひとつ。白色の岩石。
※貫入岩:もともとあった岩石や地層に、地下からマグマが貫入して冷え固まったもの。
【所在地】天草郡苓北町
【天草誕生のストーリー】第3章