豊富で多種多様な化石

「恐竜の島」、「化石の島」と呼ばれている御所浦町の島々をはじめ、天草地域には白亜紀と古第三紀に堆積した地層から豊富で多種多様な化石が産出しています。

化石について解説します

古い時代の生き物や貝などの死がいは、海や川の底に沈んで砂や泥が堆積します。その上に新しい時代の生き物や貝などの死がいが堆積して、古い死がいは重みで押し固められて化石となります。さらに、地殻変動などによって海や川だったところが陸地になり、埋もれた化石が発見されるようになるのです。
化石について解説します
湯島の海成層と玄武岩

(1)湯島(ゆしま)の海成層と玄武岩

島原半島の口之津(くちのつ)層群上部と対比される海成層と、約82万年前に噴出した玄武岩が分布しています。海成層は上部と下部に分かれ、下部の(※)シルト層からは内湾に生息する貝類の化石が多く産出しています。※シルト層:1/256mm~1/16mmの粒子であるシルトが固まってできたもの。
【所在地】上天草市大矢野町
【分類】火山岩・化石
千巌山貝化石密集層

(2)千巌山(せんがんざん)貝化石密集層

主に陸地で堆積した赤崎層から、浅海域の地層・白岳層に移り変わる地層が見られます。海と河川の水が混じり合う汽水(きすい)域とよばれる場所に堆積し、汽水域の二枚貝化石や、浅海域の巻貝化石の密集層を観察できます。
【所在地】上天草市松島町
【分類】始新世の貝類化石
高戸の白亜紀化石

(3)高戸(たかど)の白亜紀化石

海水浴場脇に露出している姫浦(ひめのうら)層群 樋の島層からは、貝類とアンモナイト類化石が多く産出。海岸の露頭や石から簡単に化石を観察できます。注意深く見てみると、サメの歯化石が見られることもあります。
【所在地】上天草市龍ヶ岳町
【分類】貝類・サメの歯化石
椚島のアンモナイト産地

(4)椚島(くぐしま)のアンモナイト産地

姫浦層群の中でも、最もアンモナイト化石を産出するスポット。(※)黒色頁岩にアンモナイトやイノセラムスなどの軟体動物、またサメの歯などの魚類化石が見られることで知られています。※黒色頁岩:堆積した面に沿って薄く割れやすい性質をもった泥岩のこと。
【所在地】上天草市龍ヶ岳町
【分類】白亜紀後期の化石
アンモナイト館

(5)アンモナイト館

直径60cmもある巨大アンモナイトが、まるで海底に横たわっているように展示。そのサイズは九州最大と推定されています。また、展示館の周辺は希少な植物や昆虫の生息場であり、これらを観察することができます。
【所在地】天草市御所浦町
【分類】巨大アンモナイト化石
ニガキ化石公園

(6)ニガキ化石公園

資料館に展示できない大型の岩石を中心に、野外展示している公園。約9,800万年前の嵐によって密集した貝の化石や、採石場などで見つかった化石の入った岩など、約20点展示しています。
【所在地】天草市御所浦町
【分類】化石
弁天島

(7)弁天島

平成9年5月、九州で初めてとなる恐竜の足跡化石が、無人島の弁天島で発見されました。その大きさは38cmで、5m前後の肉食恐竜のものと考えられています。現地では足跡化石を型どりした複製を設置。発掘前の様子が見学できます。(実物化石は御所浦白亜紀資料館で展示)
【所在地】天草市御所浦町
【分類】肉食恐竜の足跡化石
京泊

(8)京泊(きょうどまり)

天草で最初に恐竜化石が見つかった場所が京泊海岸です。平成9年3月、当時の御所浦町から依頼を受けた高知大学のグループが、植物食恐竜のものと思われる足のスネ部分の化石を発見。現在でも、骨片らしきものを現地で見ることができます。
【所在地】天草市御所浦町
【分類】天草で最初の恐竜化石発見地
軍ヶ浦海岸

(9)軍ヶ浦(いくさがうら)海岸

約7,000万年前の植物食恐竜の足跡と歯の化石が貝類の化石とともに発見されています。海域で形成されていた姫浦層群の上部では、汽水域の環境になったことがわかります。今後、重要な発見が期待できる場所として調査・整備を進めています。
【所在地】天草市天草町・河浦町
【分類】植物食恐竜の足跡化石・貝類化石
赤木ダム周辺

(10)赤木ダム周辺

始新世の地層に含まれる(※)底生有孔虫の化石「ヌムリテス」。形状が円盤状で貨幣に似ていることから「貨幣石」と呼ばれています。世界各地の同時代の暖海堆積物に多く見られるものです。※底生有孔虫:石灰質の殻をもつ原生生物の一群で、海底で生活している
【所在地】天草市河浦町
【分類】貨幣石(ヌムリテス)
遠見山化石層

(11)遠見山(とおみやま)化石層

砥石層の真下にある教良木層の砂岩に貝化石の密集層があります。約4,500万年前の保存状態の良い化石を観察することができる場所です。下須島などにも分布の延長が見られます。※種類の有孔虫のこと。
【所在地】天草市牛深地域
【分類】古第三紀の貝類化石

(12)採石場跡地

約9,800万年前の嵐によって密集した貝化石が産出。化石を含む地層が断層でずれている様子を観察することができます。
【所在地】天草市御所浦町
【分類】化石・断層

(13)スフェノセラムスの壁

むき出しになった山肌一面に、約8,500万年前の二枚貝「スフェノセラムス」や海底を這い回る生き物の跡、アンモナイトなどが見られます。
【所在地】天草市御所浦町
【分類】化石

(14)天草町大江(おおえ)海岸

貝類化石が密集する白亜紀の地層と、穴観音と呼ばれるキリシタンにまつわる伝承が残されている海食洞があります。
【所在地】天草市天草町
【分類】貝類化石

(15)宮野河内(みやのかわち)地域

始新世の地層に含まれる底生有孔虫の化石「ヌムリテス」。熊本県指定の天然記念物になっています。
【所在地】天草市河浦町
【分類】貨幣石(ヌムリテス)

(16)大島

絶滅したカキ化石や貝類化石の密集層。磯の生物観察に適した無人島で、今後恐竜化石の発見が期待されています。
【所在地】天草市牛深地域
【分類】白亜紀の地層・化石

(17)権現山玄武岩と坂瀬川層

権現山の山頂では、天草地域の火山岩石で分布の少ない(※)玄武岩を観察できます。また、中腹では化石も産出します。
※玄武岩:地表に出てきたマグマが冷え固まった岩石のひとつ。黒色の岩石。
【所在地】天草市牛深地域
【分類】玄武岩と化石



天草市立御所浦白亜紀資料館

天草市立御所浦白亜紀資料館
天草地域から発見された化石を中心に、約1,000点の標本を展示。館内には、御所浦産の日本最大級の肉食恐竜の歯化石や、日本最古の大型ほ乳類をはじめ、アンモナイト、貝などの化石が展示されています。講演やワークショップなど、地球科学の普及活動にも取り組んでいます。


■資料館に展示している主な標本

日本最大級の肉食恐竜(カルノサウルス類)の歯〈白亜紀〉
日本最大級の肉食恐竜(カルノサウルス類)の歯〈白亜紀〉

欠損部分を復元すると10cm程度になる歯化石。体長10m級の肉食恐竜が日本にいた可能性を示します。
ほ乳類(コリフォドン類)の化石〈古第三紀〉
ほ乳類(コリフォドン類)の化石〈古第三紀〉

国内最古の大型ほ乳類として知られるコリフォドン類。保存状態の良いものが複数産出しています。