1億年の大地の記録

1億年という時間をかけて形成された堆積岩や、火山のマグマが冷え固まってできた火成岩など、地球の営みを間近に感じるジオサイトをご紹介します。

天草地域の地層を見るポイント

天草の各地域では、恐竜の繁栄と絶滅が見られた白亜紀から、人類が現在とほぼ同じ状態まで進化する第四紀まで、幅広い地質時代の地層を観察することができます。地層によって「御所浦層群」「姫浦層群」「坂瀬川層群」など名前が付いていて、各地域でそれぞれの地層が露出しているところが見られます。地層の名前を意識することが、天草の地質・地形を理解するポイントです。
天草地域の地層を見るポイント
高杢島

(1)高杢島(たかもくじま)

上天草市の北部には、約300万年前に噴火したとされる小火山が見られます。その中の高杢島では、(※)角閃石を多く含む(※)安山岩から成り、島の形の美しさから天草富士とも呼ばれています。※角閃石:火山の岩石に含まれる鉱物。細長い柱状からつぶれた六角形の形をしている。
※安山岩:地表に出てきたマグマが冷え固まった岩石のひとつ。灰色の岩石。
【所在地】上天草市松島町
【分類】新第三紀の火山群
祝口観音の滝

(2)祝口(いわいぐち)観音の滝

教良木ダムに注ぎ込むなめ滝。滝周辺では白岳層の砂岩と滝の斜面が同じ傾きでほとんど直線的な水の流れです。岩石が硬く、浸食があまり進まないので滑り台のようですが、近づくと大小の(※)ポットホールが見られます。※ポットホール:川底や川岸の岩石の上にできる円形の穴のこと。 かめ穴ともいう。【所在地】上天草市松島町
【分類】始新世の地層
教良木層の黒色泥岩

(3)教良木(きょうらぎ)層の黒色泥岩

教良木ダムのほとりにある(※)黒色頁岩が露出している場所。教良木層の模式地の中では、最も露出の良い露頭が見られます。※黒色頁岩:堆積した面に沿って薄く割れやすい性質をもった泥岩のこと。【所在地】上天草市松島町
【分類】始新世の地層
横浦島の不整合露頭

(4)横浦島の不整合露頭

白亜紀の深い海の底で堆積した姫浦層群が、その後の地殻変動によって隆起し、地表に現れ、この時の浸食によって不整合面がつくられました。恐竜時代の地層とほ乳類時代の地層が(※)不整合で接する地層を観察できます。※不整合:上下に重なる2つの地層に大きな時間の隔たりがあり、互いに調和していないこと。【所在地】天草市御所浦町
【分類】白亜紀の地層
小ヶ倉観音

(5)小ヶ倉(こがくら)観音

大きな一枚岩に書き込まれた四文字の(※)梵字(ぼんじ)は、1467年のもの。この場所は、観音さまを信じる心が大切に守られている証です。一枚岩は倉岳山頂にも通じるマグマ由来の岩盤です。※梵字:仏教とともに中国を経由して伝来したブラーフミー文字の一種。【所在地】天草市栖本町
【分類】岩石・信仰
リップルランド

(6)リップルランド

約4,500万年前に海底で堆積した教良木層の黒色の泥岩と砂岩が交互に重なり合う地層が見られます。有明海では、約140万年から70万年前のゾウやシカの化石が漁師の網に引っ掛かることもあります。【所在地】天草市有明町
【分類】始新世の地層
黒崎海岸

(7)黒崎海岸

天草を構成する最も新しい第四紀佐伊津層が分布。この地で採石・加工されている御領石(ごりょういし)や灰石は、約9万年前に大規模な噴火を起こし、天草まで到達した阿蘇火山の(※)火砕流堆積物の(※)溶結凝灰岩です。※火砕流:火山の噴火などによって生じる気体と固体粒子からなるもの。【所在地】天草市五和町
【分類】第四紀の地層
おっぱい岩

(8)おっぱい岩

女性の乳房の形に似ていることから「おっぱい岩」と呼ばれている海岸に転がる大きな岩。西川内(にしかわち)の海岸に露出する坂瀬川層の中にあった硬い塊が、風化・浸食によってできたものです。※ノジュール:堆積物中に含まれるさまざまな形をした硬化部のこと。【所在地】天草郡苓北町
【分類】坂瀬川層の(※)ノジュール
花崗閃緑岩

(9)花崗閃緑岩

富岡半島の約4分の1の面積を占めて分布する岩石。約1,900万年に形成されたものであり、富岡城はこの岩石の風化・侵食によって残された高台に建っています。富岡城下の畑の脇に露出する岩塊は、間近に確認できる貴重なスポット。※貫入岩:もともとあった岩石や地層に、地下からマグマが貫入して冷え固まったもの。【所在地】天草郡苓北町
【分類】(※)貫入岩
長崎変成岩類(高浜変成岩類)の露頭

(10)長崎変成岩類(高浜変成岩類)の露頭

白亜紀の(※)変成岩と見られ、長崎県の野母崎半島と地質的に関係の深い地層。天草町高浜から大江にかけて分布し、天草地域で唯一、典型的な変成岩の分布地域でもあります。※変成岩:岩石や地層が熱や圧力によって岩石の構造や構成する鉱物【所在地】天草市天草町
【分類】白亜紀の変成岩類
下須島小森の潮汐堆積物

(11)下須島小森(げすじまこもり)の潮汐堆積物

約5,000万年前に堆積した始新世の(※)潮汐堆積物の観察ができます。堆積物に残された潮汐のリズムを見ることができる貴重な場所です。※潮汐堆積物:海の周期的な干満によってできた堆積物のこと。【所在地】天草市牛深地域
【分類】始新世の地層

(12)湯島(ゆしま)の海成層と玄武岩

島原半島とのつながりを示す海成層と約82万年前に噴出した玄武岩が分布。貝類化石が多く産出します。
【所在地】上天草市大矢野町
【分類】火山岩・化石

(13)だご石

高さ約50mの岩場の頂上に鎮座する巨大な岩。地元の人は「だご石様」と呼び、大切に祀っています。
【所在地】上天草市松島町
【分類】始新世の地層

(14)高舞登山(たかぶとやま)展望所と不整合の露頭

国道から高舞登山展望所までの道路脇では、白亜紀と古第三紀の両方の地層が観察できます。
【所在地】上天草市松島町
【分類】始新世の地層

(15)権現(ごんげん)鍾乳洞

権現山の八合目付近にある、天草では唯一の鍾乳洞。
【所在地】上天草市姫戸町
【分類】変成岩類

(16)下浦石(しもうらいし)の露頭

この露頭に見られる砂岩は古くから採石され、天草の産業のひとつでもありました。自然な露頭として観察できる貴重な場所です。【所在地】天草市下浦町
【分類】始新世の地層

(17)弁財天さま

国道の海側に鳥居がある「弁財天さま」は、教良木層の砂岩が浸食に耐えて残った地形を利用したもの。
【所在地】天草市栖本町
【分類】地層・文化

(18)天附(あまつけ)の海緑石砂岩

海緑石を多く含む砂岩で、貝類化石が産出することでも知られています。炭鉱産業が盛んな頃は、炭層の(※)鍵層として利用されていました。
※鍵層:地層の年代を特定するために用いられる特徴的な層のこと。
【所在地】天草市新和町
【分類】始新世の地層

(19)安山岩の採石場跡地

切りたった掘削面を残した採石場跡地。大変硬い岩石で、(※)クラッシャラーなどの石材として利用されていました。
※クラッシャラー:細かく砕かれた岩石のこと。駐車場や線路などに見られる。
【所在地】天草市有明町
【分類】新生代中新世の安山岩質貫入岩

(20)鬼の城(おんのじょう)公園

むきだしの凝灰角礫岩の一部が帯状に削られ、そこに石仏110体が安置されています。この層状の窪地は地元では大蛇が通った跡といわれています。
※凝灰角礫岩:溶岩の岩片が含まれた火山灰が堆積して固まったもの。
【所在地】天草市五和町
【分類】(※)凝灰角礫岩・信仰

(21)権現山玄武岩と坂瀬川層

権現山の山頂では、天草地域の火山岩石で分布の少ない(※)玄武岩を観察できます。また、中腹では化石も産出します。
※玄武岩:地表に出てきたマグマが冷え固まった岩石のひとつ。黒色の岩石。
【所在地】天草市牛深地域
【分類】玄武岩と化石

地質時代とは?

地球誕生から人類の歴史以前の時代のことを地質時代といいます。地球の約46億年の年齢から考えると、人類の歴史はわずか0.1%未満なのです。

地質年代表